アンティークコインのグレードの見方

アンティークコイン

アンティークコインのグレードとは

アンティークコインのグレードとは、コインの保存状態や外観の評価基準を示す指標です。これにより、コインの価値や希少性を正確に評価することができます。

コインの状態の評価基準

コインの状態を評価する際には、以下のポイントに注意します。

  • 表面の摩耗度: コインの表面にどれだけの摩耗が見られるか。
  • キズやへこみ: コインにキズやへこみがあるかどうか。
  • 光沢の有無: コインの光沢や輝きの状態。
  • 色合い: コインの色合いやパトナーンの鮮明さ。

一般的なグレードの分類

アンティークコインは一般的に以下のグレードで分類されます。

  • Poor (PO): 最も劣化が進んだ状態。
  • Fair (FR): 劣化が進んでいるが識別可能な状態。
  • Good (G): 見た目に問題のない状態。
  • Very Fine (VF): ほぼ完璧な状態。
  • Mint State (MS): 新品状態に近い状態。

グレードを判断する際のポイント

コインのグレードを判断する際には、以下のポイントに留意します。

  • 観察: 詳細な観察を行い、コインの状態を把握する。
  • 比較: 同じタイプのコインと比較し、相対的な状態を確認する。
  • 専門家のアドバイス: 専門家の意見を仰ぎ、正確なグレードを判断する。

コインの保存と保管について

アンティークコインの価値を保つためには、適切な保存と保管が重要です。以下のポイントに留意しましょう。

  • 専用のケース: 専用のコインケースやカプセルを使用して保管する。
  • 湿度と温度: 適切な湿度と温度の環境下で保管する。
  • 取り扱い: コインを取り扱う際には丁寧に行い、キズや汚れを防ぐ。

以上がアンティークコインのグレードについての基本的な説明です。

コイン鑑定機関について

アンティークコインの鑑定機関には、NGCとPCGSの2つの機関があります。

NGC (Numismatic Guaranty Corporation)

NGCは、アメリカのコイン鑑定機関であり、世界的に認知された評価機関です。彼らはコインの鑑定と認定に特化しており、その評価は高く信頼されています。NGCはコインの状態を客観的に評価し、プロフェッショナルな専門知識を持つ鑑定士によってグレードを付与します。NGCの認定を受けたコインは、市場で高い需要と価値を持ち、コレクターや投資家にとって重要な資産となります。

PCGS (Professional Coin Grading Service)

PCGSは、プロのコイン鑑定サービスを提供する業界でリーディングカンパニーです。彼らはコインの鑑定とグレーディングに特化しており、世界中のコレクターや取引業者から信頼されています。PCGSは厳格な基準に基づいてコインを評価し、専門的な知識と経験豊富な鑑定士によってグレードを決定します。PCGSのグレードが付いたコインは、市場で高い評価を受け、取引時の信頼性が高まります。

どちらも世界的に信頼されるコイン鑑定機関であり、コインの購入や売却において重要な役割を果たしています。

NGC・PCGSのグレードについて

アンティークコインの世界的鑑定機関であるNGC・PCGSのグレードについてご紹介します。
NGCとPCGSは、70段階(1~70)のグレード表を用いてコインの状態を鑑定しており、ほぼ共通して同じ表記方法が使われています。これは1948年に制定されたシェルドンスケールによる等級付けで、数字が大きくなるほど状態が良く、小さくなるほど状態が悪いことを表しています。

名称グレード説明
PF または PR(Proof)※60–70プルーフ加工のコイン
MS(Mint State,Uncirculated)60–70未使用の状態
SP(Specimen)60–70プルーフでもミントでもない特殊加工のコイン
AU(About Uncirculated)50–58ほとんど未使用に近い
XF(Extremely Fine)40–45使用感があるが極めて美しい状態
VF(Very Fine)20–35図柄は鮮明、使用感が強い
F   (Fine)12–15図柄が薄くなっているが数字や文字は鮮明
VG(Very Good)8–10全体的にダメージを受けていて文字や数字も薄い
G  (Good)4–6文字・数字は明確に読める状態
AG(About Good)3文字・数字がかろうじて読める状態
FR(Fair)2部分的に形状が明確に残っている
PR(Poor)1かろうじてコインの判別ができる状態
※NGCではプルーフコインを「PF」、PCGSでは「PR」と表示されています。
詳細は鑑定機関の公式サイトをご覧ください。
NGC Grade Scale:https://www.ngccoin.com/coin-grading/grading-scale/
PCGS Coin Grading:https://www.pcgs.com/grades

以上の70段階のグレード表に加えて、コインの状態をより詳細に表すために以下の表記が用いられます。

表記説明
RD(Red)元の色を95%以上保っている銅貨
RB(Red-Brown)元の色を5~95%以上保っている銅貨
BN(Brown)元の色を5%未満しか保っていない銅貨
CAM(Cameo)表面・裏面ともに艶消し加工がなされ、デザイン部分とデザインがない部分にコントラストがあるもの
DCAM(Deep Cameo)表面・裏面ともに強い艶消し加工がなされ、デザイン部分とデザインがない部分にコントラストが強いもの

古代コインの表記について

古代コインとは、紀元前後のコインのことを指しますが、定義としては一般的に、紀元前から4世紀末のローマ帝国滅亡までとされています。
古代コインのグレード表記は、通常の鑑定表記に加えて、Choice (Ch) の表記が追加されます。コインの保存状態や外観を客観的に判断する際に役立ちます。
※古代コインの鑑定は、NGCしか行っていません。

NGCの古代コインのグレード基準は、以下の通りです。

グレード表記詳細1~70の評価
Gem MSGem Mint State65~70
Ch MSChoice Mint State63・64
MSMint State60~62
Ch AUChoice About Uncirculated55~58
AUAbout Uncirculated50~53
Ch XFChoice Extremely Fine45
XFExtremely Fine40
Ch VFChoice Very Fine30~35
VFVery Fine20~25
Ch FChoice Fine15
FFine12
VGVery Good8~10
GGood4~6
AGAbout Good3
FAFair2
PRPoor1

「Strike」と「Surfaces」の意味

  • Strike(ストライク): 打刻の位置を示す評価で、中央に近いほど評価が高くなり、コインが打たれる際の印象や精度を指します。良いStrikeとは、はっきりとしたディテールや良好な形状を持つことを意味します。逆に、悪いStrikeはディテールが不明瞭であったり、形状が歪んでいることを指します。
  • Surfaces(サーフェス): コインの表面の摩耗状態を示します。良いSurfacesとは、キズやへこみが少なく、きれいな状態を指します。逆に、悪いSurfacesはキズや汚れが多く、表面の美しさが損なわれていることを指します。

いずれも、1/5~5/5で評価されており、5/5が最高評価となります。

古代のコインはほとんどが手作業で製造されていたため、完璧な状態のものばかりではありません。そのため、一般的なアンティークコインとは異なり、古代コインには個々の違いがあります。古代コインは個体ごとに異なる特徴を持っていることが一般的です。そのため、現代のコインほど厳密な鑑定基準が適用されるわけではありません。古代コインは、使われてきた痕跡やデザインの美しさ、芸術性が重視されます。

まとめ

これまでアンティークコインのグレード基準について紹介してきましたが、アンティークコイン投資ではコインのグレードが非常に重要です。特に、コインの外観や現存数だけでなく、鑑定機関が付与したグレードも重要な要素です。信頼できる鑑定機関による高いグレードは、コインの価値を保証する役割を果たします。

投資界では、多くの人が価値が高いと認める商品は高値で取引されます。アンティークコイン投資においても、コインの価値はそのグレードによって判断されます。そのため、アンティークコインを投資する際には、必ず信頼できる鑑定機関が評価した高いグレードのコインを選ぶようにしましょう。

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